勝訴判決 不当解雇無効・約2年分の給与など約1200万円の支払いを命じる 三井倉庫ロジスティクス事件

2018年3月29日(木)、不当解雇事件で勝訴判決を得ました。
大阪地方裁判所708法廷

裁判での主な争点は、①会社が主張する(約10の)能力不足を基礎づける事実の存否、②会社が主張する事実が能力不足と評価できるか否か(解雇権濫用か否か)、③バックペイにおける賞与請求権の有無及びその額でした。
①事実認定については、約半数の解雇理由を基礎づける事実が立証されていないと判断されました。会社側の立証ができなかったのは、会社側に書証が不足していたのもありますが、提訴前の団体交渉で的確に質問・追及ができていたというのも要因です(判決文でも解雇理由が立証できていないと述べられていますが、その根拠として団体交渉の反訳書が引用されています。)。なお、認定された残り約半数の解雇理由を基礎づける事実のほとんどは原告が認めているものです。
②能力不足の評価については、「一般に業務を遂行するに当たって起こり得るミス」、「具体的な改善に向けた対策や指導を行う必要があった…そのような事実を認めるに足りる証拠はない」等と述べ、本件解雇は解雇権濫用により無効としました。
③バックペイにおける賞与については、企業内組合と会社との間の賞与に関する労働協約があり、同労働協約には賞与のうち査定を要さずに金額が確定する部分があったことから、その部分について具体的権利として発生していると認められるとされました。査定を要する部分についても、最低額以上の金額になることは確定しているとして、その部分については具体的権利として発生していると認められました。

NHK 03月29日 17時39分
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180329/3414431.html
倉庫業大手、「三井倉庫」の子会社の社員だった男性が、検品作業のミスなどを理由に解雇されたのは不当だと会社を訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、「仕事の能力に疑問を生じさせるほどのミスではなかった」として解雇を無効とし、2年分の給与などおよそ1200万円の支払いを命じました。
三井倉庫の子会社で倉庫の管理などを行っている「三井倉庫ロジスティクス」の社員だった大阪府の40代の男性は、出向先で検品作業や出退勤の打刻など複数のミスをしておととし、解雇されました。
男性は、ミスは重大ではなかったのに会社が能力不足だとして解雇したのは不当で、解雇の時点にさかのぼって給与やボーナスを支払うよう求めていました。
29日の判決で大阪地方裁判所の甲斐雄次裁判官は、「男性のミスは仕事の能力に疑問を生じさせるほどのものとは言えず、会社もミスをなくす対策や指導をしなかった」として解雇を無効とし、会社に2年分の給与などおよそ1200万円の支払いを命じました。

日本労働評議会(労働組合)本部
「三井倉庫ロジスティクスの解雇問題」2016-03-15
http://www.rouhyo.org/news/401/

 

労働判例ジャーナル76号(2018年・7月)

◆ 業務遂行能力不足に基づく解雇無効地位確認等請求
三井倉庫ロジスティクス事件
大阪地裁(平成30年3月29日)判決

労働判例ジャーナル76号(2018年・7月)

弁護士 中井雅人

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