提訴 スリランカへのチャーター機強制送還事件

弁護士中井雅人も弁護団に参加しています。
難民不認定処分の異議申し立て棄却を告げられた翌日に、チャーター機で強制送還されたという事件です。
入管職員は、「難民不認定処分に対しては、6か月以内に取り消しの裁判を起こすことができる。」という旨告げていますが、
その後、別の入管職員が、「明日、強制送還する。」という旨告げています。
判例上、いったん強制送還させられると、難民不認定処分を争う訴訟を起こすことはできなくなります。
どうやって裁判を起こせというのでしょうか。

私も、原告となった難民申請者が「殺される」「弁護士呼んで」等と繰り返し訴えていた映像を見ました。見るに堪えない映像です。
日本の行政機関で起こった事件です。
しかも、用意周到に準備されたチャーター機送還です。

さて、日本国憲法32条には、「何人も,裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」と書いてあります。
あたりまえに享受している「裁判を受ける権利」は、実は、憲法上の権利なのです。
行政や立法による権利侵害を受けた場合に、その権利侵害状態を是正するための実効的かつ現実的な方法は、司法に訴えること、すなわち「裁判を受ける」ことです。
出訴期間等の教示は、行政事件訴訟法46条で行政に義務付けられています。裁判を受ける権利(憲法32条)を実効性あるものにするためでもあります。
このように「裁判を受ける権利」というのは、三権分立を維持し、権利利益・人権の前提をなす重要な権利です。
人々があたりまえに享受している「裁判を受ける権利」、実はとてもとても重要な権利なのです。
本件は、そんなあたりまえで重要な権利が侵害された大変な事件です。

ぜひ注目してください。

スリランカ人男性2人、難民認定の裁判受ける権利侵害されたと提訴
http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3189381.htm

<難民申請>異議申し立て棄却の翌日に強制送還、裁判できず…スリランカ人が国を提訴
https://www.bengo4.com/kokusai/n_6829/

弁護士 中井雅人