労働者の権利 年次有給休暇の発生要件 消滅要件

 かつては「年休」と略されたようですが、今は「有給」と略されることが多いでしょう。
 法律上の正式名称は、「年次有給休暇」(労働基準法39条)といいます。
 労働者の権利である「年次有給休暇」を把握しているでしょうか?
 今回はこの「年次有給休暇」の発生要件と消滅要件についてご説明します。
 ※「年次有給休暇」の行使については↓をご覧ください
 https://www.ak-osaka.org/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%95%8F%E9%A1%8C/321/

【年次有給休暇とは】
 労働者の心身の疲労を回復させ、また、仕事と生活の調和を図るために、
 「有給」で「休暇」を取得することができる労働基準法上の労働者の「権利」です。
 ☆過労による労災(精神疾患等)防止の観点からも、有給休暇は適切に行使されるべきです。

 そのため、たとえば、使用者が労働契約書や就業規則で、
 労基法39条に規定された日数よりも少ない日数の年次有給休暇しか取得を認めない、または、そもそも年次有給休暇の取得自体を認めないと規定したとしても、
 これらの規定は、労基法39条に違反し無効です。
 労基法の強硬的直律的効力(労基法13条)により、労働者は、以下の労基法が定めるとおりの年次有給休暇を取得することができます。

【年次有給休暇の発生要件と発生日数】 
 下の図のとおり、年次有給休暇の付与日数(年次有給休暇の発生要件)は、
 1週間の所定労働時間と所定労働日数によって基準が異なります(労基法39条3項・同法施行規則24条の3)。

 ① いわゆるフルタイム労働者
  (週所定労働時間が30時間以上の場合、または、週所定労働日数が5日以上の場合)
 ② いわゆるパートタイム・アルバイト労働者
  (週所定労働時間が30時間を下回る場合で、かつ、週所定労働日数が4日を下回る場合)
 に分けてご説明します。

 ① 週30時間以上のいわゆるフルタイム労働者の場合
   「その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤」が、有給休暇の発生要件です。
   この要件を充たせば当然に年次有給休暇の権利が発生します。

 ② 週30時間を下回るいわゆるパートタイム労働者の場合
   この場合も同じく「雇入れの日から起算した継続勤務」(6か月以上)が有給休暇の発生要件です。
   この要件を充たせば当然に年次有給休暇の権利が発生します。
   発生する有給休暇の日数は、下の表のとおり、各所定労働日数に応じて異なります。

 ※1年間の所定労働日数を算出し難い場合の取扱い
  年次有給休暇を取得することができる日数は、原則、年次有給休暇付与日において予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数です。
  シフト制でアルバイトをしている労働者などは、今後1年間の所定労働日数など定まっていないのが通常です。
  シフト制のアルバイトをしている労働者などにも、今後1年間の所定労働日数の算出を要求すると、有給休暇取得の前提である有給休暇日数の算定ができないことになってしまいます。
  そのため、このように予定されている所定労働日数を算出し難い場合には、基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出してもよいとされています。
  したがって、たとえば、働きはじめた日から起算して6か月経過後に付与される年次有給休暇の日数については、過去6か月の労働日数の実績を2倍したものを「1年間の所定労働日数」とみなして判断してよいとされています。
   通達(2004(H16)年8月27日基発第0827001号)参照

【年次有給休暇の消滅要件】
 「労働者の心身の疲労を回復させ、また、仕事と生活の調和を図るため」という
 年次有給休暇の制度趣旨からすれば、
 当該年度に行使されるのが望ましいのですが、当該年度ですべて行使できないこともあります。
 通説では、年度の繰り越しが認められています。

 もっとも、労基法上の権利は2年間の消滅時効にかかります。
 年次有給休暇の権利も、2年間で時効消滅しますので注意が必要です。

 ☆過労による労災(精神疾患)防止の観点からも、有給休暇は適切に行使されるべきです。

 弁護士 中井雅人