【弁護団声明】大阪入管14時間後ろ手錠懲罰事件_大阪高裁判決

2026年6月25日、大阪入管14時間後ろ手錠懲罰事件の大阪高裁判決がありました。

判決を受けて、弁護団声明を公表します。

弁護団は大森景一・川﨑真陽・高山良子・中井雅人・西川満喜です。

弁護団声明

20260626弁護団声明(高裁判決)_大阪入管14時間後ろ手錠懲罰事件

2026年6月25日、大阪高等裁判所第7民事部(田中健治裁判長)は、ブラディミル・フアン・ホセ・ブルゴス=フジイさん(以下「原告」)が、2017年12月20日から21日にかけて、大阪入国管理局内の保護室等において、長時間後ろ手錠を施されたことなどについて国家賠償請求を求めていた裁判で、国に対し11万円の賠償しか認めなかった一審判決を破棄し、88万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
本判決が、後ろ手錠をした約14時間半のうち、約13時間の後ろ手錠の使用を違法とし、一審が違法とした範囲(約6時間)を大幅に拡張したこと、骨折に対する国の責任を認めたこと、賠償額を大幅に増額したことについて評価する。
特に、本判決は、手錠使用に関する違法性の判断基準を判示するにあたり、入管法令を比例原則(憲法13条)、自由権規約委員会の一般的意見、国連被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラ・ルール)に適合させて解釈していることに意義がある。例えば、本判決は、「(マンデラ・ルールが)拘束具の使用に関して上記のような厳格な定めをおいて被拘禁者の人権を可及的に保障しようとした趣旨は尊重されなければならず、本件においてもそのような観点を踏まえて判断することとする。」とした。憲法・国際人権法について一文字も言及しなかった一審判決とは対照的であり、同種事例において先例的価値があるといえる。本判決が、収容施設における戒具使用の判断基準となり、裁判で活用されることや、被収容者の人権を尊重する運用が促進されることを期待する。
また、本判決は、本件手錠使用とその継続の違法性判断にあたり、約10頁に及ぶ事実認定をしている。このことからは、裁判所が、本件事案と真摯に向き合い、保護室内の監視カメラ動画等の証拠を入念に確認した上で違法性を認めたことがうかがわれる。
判決を聞くことなく亡くなった原告が遺した「にゅうかんのたんとうさんは、がいこくじんに、ぼうりょくをしないでください。ぎゃくたいをしないでください。がいこくじんに、どうぶつみたいな、あつかいを、しないでください。」という思いに、司法が答えたと受け止めたい。
もっとも、本判決には、手放しで評価できない判断も含まれている。事例判断とはいえ、本判決が、保護室内での手錠使用自体、特に後ろ手錠使用の違法性を認めなかった点は遺憾である。上記優れた判断基準や事実認定を前提にすれば、保護室内での手錠使用自体を違法とするか、少なくとも後ろ手錠の使用を違法とするのが論理的に整合した帰結であった。批判的検討と実務の改善が必要である。
2026年6月26日
ブルゴスフジイ弁護団

 

判決報道

毎日新聞_入管の手錠で骨折 大阪高裁、国に88万円賠償命令 1審から増額_2026/6/25 20:48

朝日新聞_後ろ手錠でペルー人男性を14時間拘束、国が二審も敗訴 賠償を増額_2026年6月26日11時15分

読売新聞_後ろ手に手錠・入管施設に14時間放置された男性、遺族の国家賠償請求2審で支払額を88万円に増額…大阪高裁が職員の暴行を認定_2026/06/26 11:15

朝日放送_入管の長時間「後ろ手錠」で骨折 国の賠償を増額 大阪高裁の控訴審判決「男性の精神的苦痛は甚大」_06/26 08:02

朝日新聞司法ニュース(Twitter)_記者会見動画

 

参考記事

中井雅人「大阪入管におけるふたつの暴行事件を例に─入管における証拠保全の問題」『青年法律家』No.592 (2020.6.25),pp.6-7

【提訴】大阪入管で手錠され14時間放置など国家賠償請求~証拠保全における国の対応の問題・提訴報道~

【報道】第1回口頭弁論期日_大阪入管内で後ろ手錠で14時間懲罰事件

【報道】大阪入管保護室で被収容者を約14時間後ろ手錠事件 映像公開

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