やや日めくり憲法 47条(選挙に関する事項)

 明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)で公開されている
 やや日めくり憲法 47条(選挙に関する事項)の原稿を担当しました。↓
 http://www.asuno-jiyuu.com/2017/04/blog-post_1.html

 ↑は私の原稿をあすわか事務局の方がキャッチ―に変換してくださったものです。
 
 せっかくですので、私の原稿もここでご紹介させていただきます。

 憲法47条
 「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」
 とても短い条文です。なんや「法律で定める」か、憲法では何も決めないのか、大して意味のない条文じゃないの?と思うかもしれませんね。そんなことはありません。②つの重要な意義があります。
 意義①「法律で定める」と憲法で規定されることによって、選挙に関する事項を法律以外の法形式、たとえば勅令や政令などの行政命令などによって定めることは禁止されます。
公民の授業で「ゲリマンダー」という言葉を習うと思います。「ゲリマンダー」とは、選挙において特定の政党や候補者に有利になるように選挙区を区割りすることです。歴史的には、1812年、アメリカのマサチューセッツ州知事エルブリッジ・ゲリーが、自己の所属する政党が有利な形をした選挙区をつくりました。その形が聖書に出てくる怪物サラマンダーに似ていたため、「ゲリマンダー」と呼ばれました。そのため、時の政権が好き勝手に自分たちに都合の良い選挙区設定することを防ぐために選挙区等を「法律で定める」必要があるのです。
 しかし、このような恣意的な選挙区設定は、単に形だけ「法律で定める」だけで阻止できるものではありません。政権与党が与党に有利になるような選挙区設定をすることもあります。
 そこで、意義②「法律で定める」とは、「選挙に関する事項」の決定について国会に裁量を与える(お任せする)ということですが、どんな法律をつくってもよいという裁量を与えるわけではありません。国会は、憲法が裁量を与えた趣旨、つまり「恣意的な選挙制度にさせない!」「国民主権」などの観点から適切に行使されなければなりません。
 このように憲法47条は、時の政権という権力や政権与党という権力が、好き勝手に自分たちに都合の良い選挙制度にするのを防ぐためのもので、国民主権、民主主義の根幹を支えるとても重要な条文です。※このように権力が好き勝手できないように憲法で縛ることを立憲主義といいます。
 しかし、2012年に発表された自民党憲法草案では憲法47条に「この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない。」を付け加えようとしています。1人1票原則(憲法14条)、国民主権のためには、選挙区設定は人口比例でなければなりません。それに「総合的に勘案」という文言は恣意的な選挙区設定を引き起こしやすくなる危険性があります。自民党憲法草案は国民主権、立憲主義を後退させるものを付け加えようとしているといえます。
 市民自身が不断の努力」(憲法12条)で、憲法が予定している選挙制度になっているのかチェックしなければなりませんね。

 弁護士 中井雅人