手続 | 労働審判 |
事件の種類 | 残業代等の請求 |
立場 | 労働者 |
事案の概要 | 飲食店に勤務する労働者の残業代請求事件の労働審判。残業代が一切支払われていなかったため、残業時間すべての残業代を請求した。残業代請求期間のうちタイムカードが存在する期間と存在しない期間があった。 |
解決への経緯
飲食店に勤めていた労働者Aさんは、朝から晩までの長時間労働に限界を感じて退職しました。Aさんは複数の店舗を異動しながら勤めてきましたが、店舗によってタイムカードがあるところと、そうでないところがありました。
Aさんは退職時には給与明細の一部しか持っておらず、残業を証明できるものは持っていませんでしたが、会社側にタイムカードを開示させ、タイムカードが設置されていなかった店舗での労働についても記憶に基づいて詳細に労働実態の主張をしたことで、タイムカードがない期間の残業も一部存在することを前提に和解が成立しました。
解決のポイント
・タイムカードが手元にない場合でも大丈夫
審判に入る前に、弁護士との交渉過程でタイムカードを開示させることができます。
また、タイムカードを使用していない会社の場合は、勤務時間を自分でメモに残しておく等しておけば、そうしたメモ等も証拠になり得ます(客観的な証拠に比べれば証拠の力は落ちます。)。その時、簡単に業務内容なども合わせてメモに残しておけば、記憶喚起にもなりますし、より有効な証拠になります。
・労働審判による早期解決
今回のケースの場合は、申立から調停成立まで、約3か月でした。
はじめてのご相談から、交渉~申立~調整成立までにかかった期間は、約9か月でした。
本件は申立前に、会社側代理人弁護士からタイムカード等の開示を受けたり、裁判手続に至る前に和解できないか交渉したりしていたので、労働審判申立までにやや時間がかかったケースでした。
通常の裁判では訴訟だけでも1~2年を見通さなければならないことを考えると、相談から解決までの期間は労働審判の方が圧倒的に短期です。
しかし、事例によっては労働審判に適さない場合もありますので、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めします。ご相談を通じて、未払い残業だけではなく、職場の問題を総合的に解決する方法を、一緒に考えていきましょう。
労働審判の説明
労働審判制度は、裁判手続の一種です。
通常の訴訟との違いは、①3回以内の期日で早期紛争解決を図ること、②裁判官1名と労働関係に関する専門的な知識・経験を有する労働審判員2名が審理・判断すること、③話し合いによる解決を模索すること、といった特徴があります。
詳しくは・・・