| 手続 | 労働審判手続申立 |
| 事件の種類 | 賃金請求 |
| 立場 | 労働者(正社員) |
| 事案の概要 | Aさんは、公益性の高い法人で15年以上、正社員として働いてきました。 会社は、就業規則にて昇任基準・昇格基準を明確に定めており、特段の事情がない限り、基準に基づき昇任・昇格をすることが労働契約の内容になっていたというのか、労働者側の主張です。 しかし、会社は昇任基準を満たしているAさんを、合理的理由なく2019年及び2020年に昇任させず、2021年に至ってなんら説明もせず昇格させました。 したがって、昇給停止がなければ得られた給与と既払い額の差額及び不当な人事考課を受けたまま就労を継続せざるを得なかった精神的苦痛に対する慰謝料を請求するために、労働審判を申し立てました。 |
和解までの経緯
Aさんは、合理的な理由なく昇任・昇給停止された2019年に一度、法律相談にいらっしゃいました。
その後、外部の労働組合(合同労組)に加盟し、昇任・昇給停止をはじめとした会社の不当な行為に対して継続的に闘ってこられましたが、裁判外のやりとりでは決着せず、労働審判の申立をするに至りました。
2024年12月、2回目の労働審判手続期日にて、法人がAさんに対し解決金を支払う和解が成立しました。
本件の特徴
本件の最大の特徴は、地位確認ではない労働審判の申立で、退職和解に至ったことです。和解調書に記載された解決金額は、退職和解であること(労働者の地位がなくなること)を十分に考慮した金額になっています。労働審判申立書で支払いを求めた金額より大きな金額です。
また、和解調書には、本件の解決金とは別に、退職金について、法人の退職手当規程記載の勧奨退職を前提に計算した金額を支払う旨明記されました。Aさんにとっては有利なことです。
そして、法人側が強く求めてきた口外禁止条項も和解条項には入りませんでした。Aさんは、口外禁止条項を入れてもらえれば解決金額をもっと高くするという法人側の提案を拒否しました。もっともAさんも、所属組合も、本件和解の成果を大々的に発信する等したかったわけではありませんし、現にそういったことはしていません。労働者が使用者(資本)と和解するに際しての矜持のようなものです。
法的な請求権という観点からは厳しい事案であり、当方はそれを覚悟の上で取り組んでいました。仮に判決までいったとすると、全部棄却または一部認容の場合でも低額という結論は十分あり得ました。それでも上記の大きな成果が得られたのは、Aさんが長年職場でまっとうに仕事をされてきたこと、紛争になってからは労働組合とよく連携して活動されてきたことによるところが大きいです。つまり、単に労働審判手続でのやりとりで奏効したのではなく、地道な闘争の成果ということです。
これぞ労働事件というにふさわしい事件となりました。
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