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退去強制令書が発付される前に在留資格取得! 大阪入管

昨年12月中旬に私の依頼者に在留特別許可が出ました。本当によかったです。

オーバーステイだった中国人男性のAさんは、2016年6月警察に逮捕され、同年7月に大阪入国管理局に収容されてしまいました。その後、私が顧問をしている支援団体「TRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)」から私に、Aさんへの面会要請がありました。私は、数日後、大阪入管でAさんに面会しました。AさんやAさんの奥さんから事情を聞き取り、私はAさんの退去強制手続の代理人になることになりました。
Aさんには、日本人の妻と、妻との間に生後間もない子ども(長女)がいました。

Aさんは以前、Bという名前で日本に入国していたのですが、わけあって退去強制となってしまいました。
中国に帰国後、中国で心機一転生活をスタートさせようと考え、亡くなった親戚の子であるAという名前に戸籍を変更しました。
(このような戸籍の変更は、2000年後半中国の戸籍管理が電子化される以前は、めずらしいこことではなかったようです。)
Aさんは、しばらく中国で安定した収入を得て暮らしていたのですが、またわけあって日本に入国しました。
このときAさんは、BではなくAという名前になっていたわけですから、Aという名前のパスポートで日本に入国しました。
当初入管は、こうした経緯からAさんが、日本に不法入国するためにBからAに名前を変更したのではないかと疑っていたようです。
しかし、詳しくは省略しますが、Aさんが不法入国するために名前を変更したわけではないことは客観的状況から明らかでした。

ところが、私は、Aさんから「入管の担当者がAさんの言い分を聞かない調書を作成する」「ひどい取調べだ」という旨連絡を受けました。
すぐに私は、電話でまた直接大阪入管に行き抗議しました。
その成果か、Aさんの次の取調べでは、Aさんの言い分をしっかりと反映した調書ができたそうです。
その後、収容令書による収容期間である60日では間に合わなくなったためか、Aさんの審理には時間がかかると判断したためか、
2016年9月、大阪入管は、収容令書による収容期間満了前にAさんを仮放免し、在宅での退去強制手続に切り替えました。
※収容令書による収容中に仮放免されるのはめずらしいことです。

Aさんがオーバーステイであったことは、反省しなければならないことです。しかし、生まれて間もない長女と、入管の収容によって、また強制送還によって、引き離されなければならないほどの罪ではありません。
私はAさんの代理人として、大阪入管に対し、在留特別許可を得るために意見書や証拠を提出しました。
口頭審理は、2016年の11月末に行われました。私も、口頭審理に出席し、手続が適正に行われているか監視したり、弁護士として意見を述べたりしました。
その結果、2016年12月中旬、Aさんは、在留特別許可を得ることができました。収容令書による収容期間内の約2か月は収容されてしまいましたが、それ以上収容されることなく、不安定な仮放免の状態も比較的短く済みました。
何より、かわいい子どもと奥さんと生活できるようになってよかったと思います。

弁護士 中井 雅人
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